実写映画の累を観てきました

 珍しく二日連続更新ですよ!
 こんにちは、くろさぶろうです。

 今日は前から観ようと思っていた念願の実写版累を観に行ってきました!
 Twitterでも話題になったみたいですね。

「主人公の女の子は醜い設定なのに顔に傷あるだけでめちゃくちゃ美人やんけ!!」と……。

 これは私個人の意見なので聞き流しても何しようともいいんですが、このことを「キャスティングミスだ!」とするには違うかな、と思います。

 確かに主人公である淵累ちゃんは原作では「醜い」という設定です。ただ、これは私の予想ですが、作者である松浦だるまさんは累ちゃんは「二目と見れないほど醜い化け物のような容姿の女の子」として描いているんじゃないかと思います。
 正直に申し上げれば、この容姿を再現するにはもう「顔面全部特殊メイク」しかないんじゃないかと思います。でもそうすると表情の細かな所作なんかも隠れてしまい、仮にも演劇、女優というものに触れている作品でそれは致命傷なのではないのでしょうか?
 「ちょっとの違いでは?」と思われる方もいるかもしれませんが、生身の皮膚と作り物の皮膚はもちろん違いますし、この映画の中で累ちゃんは役柄を演じます。着ぐるみのようにオーバーな演技ばかりならまだいいですが、そうじゃないシーンももちろんあります。しかも彼女は「突出した演技の実力を持っている」という設定もあるので、そういう細やかなシーンを演じるには生身のままのほうがいい、ということではないか、と私は思います。

 それにこの作品は外見的な美醜もですが、際立つのは内面・精神の醜さです。

 この作品の登場人物は、どこまでも自分本位で自分の幸福を求めて地べたを這いずり、相手を叩き落し、踏みつぶしていきます。自分の信じたものを追い求め、絶望のどん底でも蜘蛛の糸のごとく細い希望にしがみつく人々の物語が私は魅力的だと感じています。その根底の部分は変わってないし、もし「醜い化け物みたいな女の子(20歳前後)」に範囲を狭めるなら、誰を連れてくるのでしょうか。

 大体の女優さんや俳優さんは美人です。イケメンです。美少女です。それぞれ良いところはありますが、少なくとも世間的に「顔がきれい」とされてる人が大多数ではありませんか?そうすると誰を連れてくればいいのでしょう。「この人の顔めちゃくちゃ累ちゃんにピッタリ!!!」とか言ってスカウトしますか?少なくとも女性なら「あなたはこの醜い少女の役の顔のイメージにピッタリなんです!ぜひ映画に出てくださいませんか?」って言われたら「喧嘩売ってんのか!!!?」ってなりますよね。私ならそう思う。
 じゃああと出てくれそうな人になるとお笑い芸人さんとかでしょうか。これもまず侮辱に感じると思う……。それにコメディが強めの作品ならそれもいいと思いますが、このお話は割と暗く、重苦しい部分が多い作品です。しかも、累ちゃんは前述したように演技力が突出していて「そこいらの役者じゃ足元にも及ばねえ(顔がきれいになれば)LV」なのです。本業で役者をやってないようなずぶの素人が、土屋太鳳さんと並んでダブルキャストでやれって、無理な話では?と私は思います。できる気がしない。

 たしかに原作ありきです。
 私自身も実写版ドラ〇ンボール(実は怖いもの見たさで見た)やら、実写版ハガ〇ン(こちらは原作がノータッチで本当のひどさがわからなかったと思う)の悲劇については聞いてるだけでも「勘弁してくれ~~~~~~~!!!!!!やめてくれ~~~~~~!!!!」と思いましたとも!ファンは悲鳴モノですよ!原作ガン無視で設定どころか根本から違う作品になってるなら「オリジナルでやってくれ!」となる気持ちはわかります。
 
 だけど、今回観た感じでは、改変された部分は大いにありますが、そういう根本の部分は変わってないのかな、と感じました。
 少なくとも「こんなん認めんからな!!!」というような感じはしない。どうしても尺の関係で速足部分はありますし、若干違うな、という違和感はあります。累ちゃんが最初ニナちゃんに対してめちゃくちゃ礼儀正しくて素直に言っちゃうところとか、鳥合さんはなんか若干オレオレイケイケ系男子だったりとか、そこら辺の恋愛すったもんだとか。あと前半は憎悪が足りない。もっといがみあってただろ!?なぁ!!!!?と思ってたら最後は原作より首絞めあってる感じでした。いいぞ、そうだ、それでこそ醜く生まれて蔑まれ身を小さくして鬼となった累ちゃん。

 あんまりここでお話するとこれから観る方へのネタバレになってしまうので、これくらいで。
 個人的には「こんな未来もあったかも?」くらいの気持ちで観ると原作ファンは心穏やかに観れるんじゃないかな~と思います。

 以上!